TULIPと改革派神学:全的堕落(Total Depravity)
2022年06月17日(木)
TULIPと改革派神学:全的堕落(Total Depravity)
2022年06月17日(木)

TULIPと改革派神学:序章

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最初の入植者たちがメイフラワー号でニューイングランドの海岸に上陸するわずか数年前、オランダである論争が勃発し、ヨーロッパ中、さらに世界中に広がりました。この論争は、カルヴァン主義的な教えを熱心に信じるオランダの大学の神学部の中で始まったものです。そこで教えていた教授たちの中に、選びと予定の教理に関する問題について考え直す者も出てきました。この神学論争が国中に広がるにつれ、当時の教会や神学者たちは動揺していたため、ついに、シノッド [訳注:信仰上の論争と良心の問題について話し合う会議を指す] が召集されました。そこで特定の人々の見解が否定されたのですが、その中に、ヤコブス・アルミニウスという人物も含まれていました。

正統派改革派神学に反対する運動を率いたのは、レモンストラント派(Remonstrants)と呼ばれるグループでした。彼らは自分たちの神学的遺産のうち、ある教理に対して抗議(remonstrate)または反対していたので、このように呼ばれていました。論争の核となったのは基本的に五つの教理でした。論争の結果、この五つの核となる神学的問題は、後に「カルヴァン主義の五特質(Five Points of Calvinism)」として知られるようになりました。現在では、論争となった五箇条をその頭文字で巧みに表現した、TULIPという略称で知られています。この五箇条は、全的堕落(Total deprabity)、無条件的選び(Unconditional election)、限定的贖罪(Limited atonement)、不可抗的恩恵(Irresistible grace)、聖徒の堅忍(Perseverance of the saints)で、TULIPはこれらの頭文字を順に並べたものです。

私がこの歴史的な出来事を取り上げたのは、改革派神学の本質をこの五つの教理だけで理解するのは大きな誤りであることを示すためです。改革派信仰の神学的・教会的な信仰告白には他にも多くの要素があります。しかし、この五つの教理は改革派神学において論争の的になっている点であり、一般的な視点からするとこれらの告白が改革派神学を特徴付けていることは事実です。これから五回に渡って、TULIPの頭文字に表されているカルヴァン主義の五特質を順に詳しく見ていきましょう。

参照記事:

この記事はリゴニア・ミニストリーズブログに掲載されていたものです。
R・C・スプロール
R・C・スプロール
R・C・スプロール博士は、リゴニア・ミニストリーズの設立者であり、フロリダ州サンフォードにあるセント・アンドリューズ・チャペルの創立牧師、また改革聖書学校(Reformation Bible College)の初代校長を務めた。彼の著書は『The Holiness of God』など100冊を超える。